『こねこ』1996年、イワン・ポポフ監督。
動物市で買われた仔猫チグラーシャの冒険。裕福でなくても音楽がある良きモスクワ市民の生活。猫を店内に放し飼いにする大らかな食堂。猫使いの芸を持っているのに日雇いのような仕事で食いつなぐ男は、資本主義の俗悪さを象徴する地上げ屋のような連中に追われている。親切な小さいキオスクにも、コカ・コーラの看板が仰々しく掲げられている。希望と渾沌がないまぜの90年代ロシアを背景に、チグラーシャが年越しのモスクワを駆ける。忠臣蔵と二本立てにしたい。
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