ソニー SRF-19 AM/FM ステレオラジオ
SRF-19 は小型ながら左右一対のスピーカーと音声入力/出力端子を備えた AM/FM ステレオラジオです。もともとは2011年に発売された SRF-18 があり、FM補完放送対応のため対応周波数範囲を拡張して2018年に発売された製品です。
本体向かって右側に電源切り替え、音声入力と外部電源の各端子、左側に音量、音声出力とヘッドホン端子、上面にバンドの切り替えと選局、周波数のゲージがあります。入力系は右、出力系は左、同調操作は上と、きれいに整理されています。細部まで気の入った外面設計とともにソニーらしさの良いところが表現されています。
大きさは一般的な携帯ラジオより幅がやや大きめ、奥行きはやや薄めになっています。
音質、操作性などから内部は明らかに旧来のアナログ構成であり、感度など受信機としての基本的な性能は、ICF-8 のような同社製の低価格帯アナログ機とほぼ同等という印象です。
FM の音質を見ると、中音域に厚みがあり高音はあまり伸びていないようです。モノラル固定ができないため、電波が弱いと雑音が入りやすくなりますが、人の声が埋もれず聞き取りやすい音質です。ステレオ感は正面で聴くと良好で、音圧は意外と高く感じます。スピーカーの径がわずか3.6cmで厚みもないので、響き方に余裕はありません。
19kHz の高さにチョークを引いたように見えるのは、受信機がステレオ放送であることを識別するための信号で、本来は音として出るべきではないものです。耳がいい人だと聞こえるんでしょうか。
入力端子から 256kbps の MP3 を流し込んだ場合でも、本機のスピーカーから出る音の傾向は FM と同じです。音楽鑑賞よりも radiko などで喋りが中心の内容を、よりラジオらしく聞きたいという場合に向いた音質です。
なお本機の内部で音声系統と無線部の隔離が十分でないらしく、FM を受信しているとき音声入出力端子に外部アンテナを接続すると、かなり入感を改善できてしまう場合がありました。
このように本機は携帯型としては貴重なステレオ機でしたが、残念ながら後継機が用意されないまま生産終了となっています。もし本機のような機能を音響的にもう少し余裕のある筐体に収めたものが出たら魅力的なんですが……。今後も「ラジオはソニー」と言い続けられるような新製品の登場を期待したい所です。
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