id:RASEN-KAIDAN
ドラマのことを語る


❲ペテロの葬列❳
・宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第3作を2014年に11話でドラマ化。千葉県で起きたバスジャック事件に巻き込まれた杉村と人質のその後。犯人は自殺したが人質には慰謝料が送られてくる。正しくありたいから嘘に耐えられなかった青年が暴発する経緯が原作以上に呑み込めた。
・巧みな弁舌から犯人が企業向けの研修を行うトレーナーだったと判明。廃れたと言ってもブラックな企業研修には残っているだろう。後にその話術がマルチ商法に悪用されるが、ジャパンライフが問題になった2020年頃ならもっと話題になってたのに。
・原作だと杉村の鈍感からどんでん返しのように夫婦の破綻が来るが、ドラマだと女子社員の役割を増やしてプロセスをしっかり見せる。そうしないと妻の菜穂子役の国仲涼子が悪者にされそうだから仕方ないか。父親と夫に与えられた幸せの居心地の悪さから選び取った破局はお見事。少しだけわかるかも。
・資産家の娘婿である抑圧から事件の解明にのめり込む杉村役が小泉孝太郎で良かった。当事者なのに傍観者に映るのは日本の探偵の王道。もこみちや平岡祐太以上に浅見光彦の正統な後継者になれたのに適齢過ぎてた。長編はすべてドラマ化したが、その後の中編が8作あるので小泉孝太郎が40代のうちに是非とも見たい。