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万葉集のことを語る

古語のままで読めるようになろう、ということをやっていきたい。

ちょっと前に万葉集の現代語訳の本がちょっと話題になっていて、それに対してどうこうじゃないんだけど、一般論的には現代語にしちゃうとどうしても伝わらないことがある。

原文:山越乃風乎時自見寐夜不落家在妹乎懸而小竹櫃
訓読:やまこし‐の/かぜ/を/ときじ‐み/ぬる/よ/おち‐ず/いへ‐なる/いも‐を/かけ‐て/しのひ‐つ
解詞:山越し‐助詞(属性)/風(が)/助詞(感嘆)/時期外れな‐助詞(原因)/寝る/夜(に)/落ちる‐助動(否定)/家‐助詞+動詞(に+在る)/妻‐助詞(対象)/懸ける‐助詞(状態)/偲ぶ‐助動(即今)
意訳:山越しの風が、おう、季節外れなんで、寝るべき夜にも落ちないで、家に居る妻を心に懸けて想ったところだ。
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この末尾の助動詞「〜つ」なんか、現代語で簡単に言えない。「〜つ」で閉めることで全体に緊張感が通って、切実な詩情が出てくると思うんだけど、現代語にするとなんだかたるんでしまう。というわけで、こういうのをちょいちょい載せていけたらと思います。