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ふと思い出したことのことを語る

ずっと前に、ほんの少しの期間だけ付き合いあったひとの話。

母親と娘だけの家庭で、母親は介護士だった。
友人だった娘が仕事の愚痴をこぼしたところ、
「まぁ、花子ちゃん(仮名)、そんなところで無理して働くことないわ。お母さんと働きましょう!」
と、たまたま求人の出ていた自分の職場へ娘を入れる。
日勤も夜勤も合わせて、同じ施設で働く親子。

お母さんはすごい、お母さんは優しい、お母さんは私を心配してくれる…と、彼女は私にいつも語ってくれたけど、私は話を聞く限りなんか変・なんか気持ち悪いとしか感じず、素晴らしいお母さんだとは思えなかったんだよなぁ。

新しい車を買おうとした時(もちろん自分のお金で)、元旦に母親の前に正座して、「新しい車を買ってもいいですか」とお伺いをたてたり。

彼女は付き合っていた男性がいて、結婚話が持ち上がり、遠方にあった彼の実家に挨拶に向かった。
その夜、彼の家に母親からお礼の挨拶の電話がかかる。
彼母と話したあと、娘に代わってもらって話し出す。
しばらくして娘号泣。
驚いた彼が事情を聞くと、お母さんが自分を心配してくれていることがありがたく申し訳ないと。
一晩を泣いて過ごして、翌朝早々に母の元に帰宅。

しばらくして「君とお母さんのことは引き離せない」と彼に宣言されて破談に。

なんで私がこんなに詳しく知っているかと言うと、彼女が嬉々として、お母さんはこんなに私を心配して愛してくれている!と語ってくれたから。

当時「毒親」なんて言葉はなかったけれど、あとになって思うに、真綿で首を絞めるタイプの毒親だったのね。

他にいろいろあって、私は早々に付き合いを絶ってしまったけれど、彼女はあれからどうしたのだろう。
お姉さんがいたけれど、近くに嫁いでいても、実家を嫌って年に一回も顔を出さないと言っていた。
お姉さんは気づいていたんだろうな、母親のコントロールに。

お母さんと一卵性として、繭の中にこもっていられるうちはいいけれど、母親が老いて居なくなるとき、友人関係より恋人より母親を優先し、ほとんど人間関係を持たなかった彼女はどうするんだろう。

もう名前も思い出せないけれど、ふと思い出した話。