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ふと思い出したことのことを語る

別な友人の話。

ダブルワークしていた工場で働いていた時期、そこで一緒だった。
年は私と同じくらいで、看護師のお母さんと二人暮らし。
彼女はうちの母は病んでるからと、はっきり言えるタイプだった。
頭でも気持ちでも突き放していたけれど、優しい彼女は行動には出来ないのだった。

母親の要求を拒否するといろいろと面倒になるからと、あきらめたように笑って言った。

自身も摂食障害を持っていて、克服しかけていたとはいえ、痛々しい細い腕だった。

思えばリアルで母親との問題を抱えていると口に出したのは、彼女が初めてだった。
それまで私が母の話をすると「お母さんは娘に甘えたいんだよ」とか「寂しいんだよ」とか的外れな答えばかりだった。
私自身の結婚生活の問題に、実家の母の問題も峙せねばならず私は、いつも疲労困憊だった。
睡眠時間は連日四時間ほどのダブルワークで、あのころは立っていても眠れた。

私が工場の仕事の最後の晩、婚家を出るときに「逃げられる場所があるひとは早く逃げて幸せにならなくちゃ」と笑った彼女。

彼女が幸せになっていますようにと、時々思い出しては祈る。