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祖母のことを語る

父は季節の食べ物にうるさい。
うちのおばあちゃんもだけど、父方の祖母もまた手間を惜しまないひとで、季節の時にはそのものを食べることをよしとしていた。
父は後妻さんの子なのだけど、祖母はそこで五人の子供を産み、先妻さんの子と合計したら今なら大家族として取り上げられる人数の兄弟になった。
それからたくさんの子供を育てる為に、祖母はただただ働き、出荷できない野菜に手をかけて料理し、たくさんの子供がお腹を空かすことがないように育てた。
口癖は「手間さえ惜しまなきゃ、おいしいものなんていくらでも作れる」

父の実家のお祭りに行くと、座敷を二間つなげた和室に、父のたくさんの兄弟がみな子供を連れてきていて、子供だけで二十数人いたと思う。
祖母はひとが集まるのが大好きで、それはそれは手をかけた野菜料理に巻き寿司、山で取る栗と松茸のお吸い物。
それほど豪華な物はないのだけど、座卓を繋げた食卓の上は置ききれない料理が乗っていた。

孫たちが小学校に上がる前には、それぞれにランドセルを用意し、祖父と一緒に家を訪ねてはお祝いしてくれた。

当時はランドセルを当たり前のようにもらい、出された物を食べていたけれど、自分ができるかといわれたらできないよなぁ・・・と、今更ながら感嘆する。

そして、父は祖母がしたように季節の物を料理して食べ、今夜はかぼちゃのすいとんを用意して私を待っていた。

うちのおばあちゃんがもっとはっきりしていた頃、冬至には「お父さんが誕生日だからかぼちゃを煮なきゃ。」ってよく言ってた。(父はかぼちゃが好き)

母の言動に関してはもういっさい口をつぐんだ父であるけど、今夜は母不在のせいもあって「冬至だからこれをばあさんにも食べさせてやれ」と私に言ったのだった。
食べる量が減った祖母であるけど、父の作ったかぼちゃのすいとんはよく食べてくれて、私が驚いた。