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ふと思い出したことのことを語る

私の通っていた小学校は、敬老の日が運動会だった。
徒競走は背の順に6人ずつ。
保育園からずっと、背の順に並ぶと一番後ろ以外になったことのなかった私は、いつも最終グループ。
練習ではいつも三位か四位だった。今でもそうだけど、歩くことは好きでも走ることは苦手。
前日の練習で、背の順で私の前に並ぶ同級生が言った。
「私、三位以内でないとお父さんに怒られちゃうから、三位までに入らないで」
なんだそれと思いながら、なんと言ったか記憶にないけど、曖昧に返事をした気がする。

当日、私は二位で青いリボンをつけてもらった。確か、一位が赤で二位が青、三位は黄色。
別に頑張ったわけでもなく、手を抜いたわけでもなく(そんなこと子供にできるわけがない)偶然の二位。
彼女は何か言いたげだったけど、私は大好きな青いリボンがもらえて嬉しかった。
ほかにも、水泳の授業で私はクラスで一番早かったんだけど、彼女は「ゆきさんは手をついてる!あんなに早いわけないもん。お母さんが手をついてるって言ってたもん!」と。

今なら、いくら端の部分の浅いとこでも、手なんかついたら却って遅くなるに決まってんじゃんと言えるけど、当時は何でそんなこと言うのかな、私の泳いでるのってそんなふうに見えるのかな・・・って思っただけだった。
小学校の二年か三年で、他人にそういうことを言う発想って何なんだろうと、今ふと思った。

その後、彼女のお父さんは逮捕されて、彼女は妹とお母さんと、お母さんの実家のある温泉のある街に越していった。
もうずいぶん前のことになるけど、父が仲間と有名なお祭りに行った先が、その温泉街で、泊まったのは彼女のお母さんの実家の温泉旅館だった。
「ほら、お前の同級生だった娘の、お母さんの実家の旅館よ」と言われて思い出した同級生の名前だった。
昔にその温泉の名前をよく出しては、おばあちゃんちに行ったって言ってたな。
温泉とつく地名があるなんて知らなくて、おばあちゃんに会うのに温泉に行くのか・・って思ってた。

父が私の同級生の名前を知っていたのが意外だったのと、運動会の話題を読んだから、ふと思い出した。
元気でいるんだろうか。

そして、今はそんなふうに思うけど、あと何年かしたら「生きてるだろうか」って思うようになるのかな・・・とも。