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ゆきのことを語る

宇野千代の本が好きだった。
おばあちゃんの部屋に、ずいぶんと昔に渡した本があったので持ち帰ってきた。

しばらくそのままだったのだけど、ふと見たら何か挟まってる。
取り出してみたら、おばあちゃんの長兄からおばあちゃんに宛てた手紙だった。
切手の部分がないので、年が不明なのだけど、内容からするに結婚したばかりのおばあちゃんを横浜に住んでいた兄が訪ねてきた後の、礼状を兼ねた結婚生活の先輩から妹に宛てた、便箋三枚の手紙。
半分は嫁ぎ先での心得だった。

おばあちゃんはきょうだいが多かったから学歴はなかったけど、頭はよかった。
勉強もスポーツもできて(90まで一緒にボーリング行っていた。ひ孫と一緒にガーターレスのレーンではあったけど、両手で投げてストライクとってたよ)、手先も器用で明るくて。
まあ、そんな妹でも年の離れた兄は心配だったのね。

新婚当時っていうと、多分今から75年前。
便箋が変色しているけど、インクの色は青いまま。
よくもまあ、こんなにきれいにとってあったわ。
そして、手紙の達筆に驚いた。

そっと封筒に戻して、また本に挟んだ。
さて、これどうしましょうかねえ。