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ゆきのことを語る

【福島で見たもの】
東松島から茨城に移動したので、常磐道を通った
高速に入る前に慌てて寄ったお店では萩の月がなくて、まあいっかーと思ったんだけど、欲求に抗えず【仙台空港】の看板を見て、空港ならお土産なんかなんでも揃うはずよし降りよう!と、乗ったばかりの高速を出て、空港で山のように宮城と福島のお菓子を買った。
ついうっかりブルーインパルスの置物まで。
やだわー、空港も結構な罠がかかっていますのね。

満足してまた高速に戻ると、行きの東北道で数ヶ所だけ見掛けた空間線量計を、常磐道では頻繁に見掛ける。

宮城から福島に入ってしばらくすると左手に福島第二原発の排気塔。
ああいよいよだなと思う。
さらに進むとニュースで聞く地名が順に表示されてきた。
脇に「災害時には横断する人に注意」って書いてある。
高速道路を徒歩で横断してでも避難しなくちゃならない状況・・・
それでも、まわりにはたくさんの家があって車が走っていてそこで生活しているひとがいた。

【ここから帰宅困難区域】と看板が出た。
両脇に山が迫っているところを抜けたら、景色が一転した。

山の谷間にひろがった、おそらくたくさんの田んぼだったろう広い場所が、山からのつる草に覆い尽くされて山に戻ろうとしていた。
高速の下に見える家々は、手入れがされなくなった庭木が伸び、家の回りも草で荒れている。
家のまわりの段々は、きっと田んぼ。
それまで見えていた、黄色になり始めた稲の見える田んぼではなくて、切り株から発芽してを繰り返している稲なのか、草なのかざわざわした緑色。
畦も草に覆われ見えない。
あたりの道も手入れがないから、草がはびこり車道に入り込み、つる草は電柱の上まで絡み付いて、ひとの住んでいない場所の光景だった。

日本中どこに行っても程度の差こそあれ、青々した田んぼの中を草刈りをした畦道が通っている、それが私の知ってる田園風景で田舎の高速道路からの景色だった。
荒れ果てた田んぼの風景は、とても胸が苦しかった。
丁寧に耕作してきたのだろうに、大切な農地は荒れていき、耕作を手放すどころか帰れない。
どんなにか無念だろう。
あちこちに広大なフレコンバッグ置き場。

一瞬だけ、たくさんのクレーンのある福島第一原発がはっきり見えた。
高速からは予想外に近かった。

一日も早く帰れる場所になりますように。