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ゆきのことを語る

認知症の叔母を従妹たちふたりで見ているのだけど、最初に生まれた姪の私をいちばん可愛がってくれたひとなので、今は時々私が連れ出してご飯食べたり散歩したり。
明日は天気が良くなさそうなので、声をかけてふたりで出掛けてきた。

実家では、私が小学校に上がるくらいまでお蚕を飼っていたので、幼い頃から手伝っていた叔母もお蚕なんて慣れたもの。
ので、先週知った岡谷の養蚕博物館でお蚕見て(ふれあいコーナーでは棚から落ちて床にいたお蚕を拾って棚に戻してやっていた。うわーん!私にはできーん!!)、糸取りの作業場では「ああ、お蚕様の匂いがするねえ」とのこと。
よく言われるけど、昔の記憶は鮮明。

でも、売店のサナギの佃煮の試食をすすめらられた時には、昔からそれだけは嫌だったと拒否。
あははは。おばあちゃんよく煮ていたよねえ。

昔話しながらお蚕を見て回って、皇后様の養蚕の映像が流れる部屋では、その姿を見ながら昔話。
遥か昔の皇太子時代に視察に来たときに、休憩室で夫妻にお茶を出したのが、当時役所で秘書をしていた叔母だった。

そのあと叔母は同じ茶碗を買いに行って、お茶を出した茶碗を持ち帰っておばあちゃんにあげたんだよねえ。
田舎の農婦で、若くして未亡人で娘四人を育てたおばあちゃんはたいそう喜んで、今でもサイドボード(って名前も聞かなくなったわねえ)のいちばん上の棚に鎮座ましまし。

「人前で飲食しないっていうけど、お茶飲んだの?」と聞いたら飲んでたよとのこと。

そこを出てお昼ご飯食べたあと、コーヒー買って気持ちのいい諏訪湖畔のベンチでお茶。
冷凍しといた栗菓子を持っていったら、ちょうどいい解凍具合。
これ、おいしいねえと言うので、じゃあ来月は木曽のお店まで買いに行こうと約束した。

少し湖岸を散歩して車で回りを一周して帰宅。

自分の娘たちに「お母さんはなに年?」と干支を聞かれる度に、「お母さんはパンダ年!」と言い張る、頭がよくて面白い叔母だったのだけど、認知症を得てからは従妹たちにずいぶんとひどいことも言うらしいけど、不思議に私にはずーっと昔からの同じ叔母のまま。

ああ、こんな感じで元気でいてほしいなあ。。。