その人とはメールを交わすだけの友達だった。
庭で育てた花の写真を毎日送ってくれた。
あんまり上手な写真ではなかったけれど、ひきこもりがちな私の心を温かくしてくれた。
しばらくののち私は殆ど登校できなかった学校をやめて、少し離れたところに転校した。
その頃から、その人から送られてくる写真がなんだか違う様子に見えた。
学校で新しくできた友達がふと覗き見て言った。
「それ、図書室の図鑑の写真を写メったの?」
私はどういうことか理解できず、とにかく図書室でその図鑑を探した。
図鑑は借りられたままだった。
私が転校してくる少し前からずっと。
図書係がこっそり教えてくれた。
どういうわけか、とにかくそれを借りた生徒はずっと学校に来ていないらしい。
超短編のことを語る