昼食を取った帰りにふだんはあまり通らない道を通ると、『○○パン』という看板を掲げてタバコから雑貨まで浅く手広く取り揃えているタイプの場末の個人商店があった。だいぶ古い店構えだが、こんな所に食料品店があるとはこれまでまるで気がつかなかった。店の軒先には商品を入れたカゴがいくつか並んでいて、カゴにはコーヒーカップや湯飲み茶碗、よくわからない革小物、手書きの立札で「カップラーメン100円」と銘打ったマイナーなカップラーメンなどが収められていた。自室に戻るまでにコンビニに立ち寄ると少し遠回りになる場所だったのもあり、魔がさして、非常食用にとカップラーメンを二つ取り上げて店内で会計することにした。自動ドアを通ると、正面の商品棚に『○○パン』の菓子パンがまばらに置かれている。右手のレジ奥のきわめて狭いスペースから店主の声がした。ちいさな店にそぐわない胴間声である。店外で選んだカップラーメンの他に菓子パンを一つ取って、レジの店主の前に置くと、店主は太い嗄れた大声で言った。
「店の外のカップラーメンは!賞味期限切れ!か、賞味期限切れ直前!大丈夫!?」
お、おう…