劇中の時間の切り替え、今作で言えば現在と回想シーンの見せ方を差別化するにあたり、スクリーンサイズ自体を変える、というやり方が用いられていて、この手法で一番記憶に新しいのは「グランドブダペストホテル」なのですが、「グランドブダペストホテル」が時代時代の上映方式に合わせたスクリーンサイズだったのに対して、「ポルト」では過去の方がスクリーン一杯の大きく鮮明な映像で描かれて、過去を思い返す現在の方が色褪せた4:3くらいに切り取られた小さい画面で描かれます。おそらく主人公達にとって最も美しく自由だった一夜と、現在の閉塞感の対比が、セリフではない視覚的な手法だけで上手く伝わってくるなあ、と言ったタマフルリスナー的な感想もありますがそれはともかく、スクリーンの中でアントンイェルチンが生きていて、映画って素晴らしいなと思いました。
残業(トナカイ)のことを語る