つづき
もうモスクワには3週間いる。
ロシア文学が好きなわけでもなく、むしろ寒さが苦手なのにこんな北国に来てしまった。
モスクワといっても中心部からは離れているので外国人は少なく、静かなところだ。
街の人は見慣れぬ日本人にも親切でつい長居している。
モスクワがランチプレートなら、東京は松花堂弁当だ。きっちり詰められたその整然さ。空きがない。
狭いところにみっちり。ぎゅうぎゅうの電車。不夜城のビル。
ずっと、ここで、いいの?
夜景の見えるバーでワインを飲んでいたらもうひとりの自分が聞いてきた。
よくない。
でも移住するほど東京がいやなわけじゃない。しばらく旅に出よう。
その日帰ってすぐANAのサイトを開いた。