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今日の夢のことを語る

船と列車を乗り継いで辿りついたホテルで開いたPCには、見慣れないSNSの中でかみ合わない議論がされていた。
リアルタイムで更新される会話を混乱しながら読んでいると、議論しているうちの一人が私の部屋にやってきた。
あいさつの後自己紹介すると、彼女は私をよく似たIDの誰かだと思いこんだまま、ゆっくり話したいから、と彼女の部屋に誘った。
彼女はにこにことしていて、ゆっくりはっきり特徴的な話し方をする人だったが、会話は主に一方的で脈絡がない。
端々に過激な単語が混じり始め、私は気味が悪くなり、なにかしら理由を見付けて部屋を出ようとタイミングを探していた。
ホテルの外のだだっ広い草原が騒がしくなって、嫌な予感がして彼女を振り切って飛び出した。
草原の向こうのほうから機動隊が迫ってくるのが見えた。
彼女と仲間を制圧しに来たのだと気づいて、急いでその辺りに停めてあった車の後部座席に乗り込みドアをロックした。
3人の機動隊員が覗き込み、開けろと合図するので、恐々とドアを開けた。
両サイドに隊員が乗り込み、彼女との関係を聞かれたりしていたが、外が騒がしくなり隊員たちは慌ててそちらへ集合していった。

ホテルと反対の方向には長い塀があった。
私はダッシュで向かい、塀の中に逃げ込んだ。
そこには小さな集落があった。
住民たちは皆なにかに取り憑かれたような顔つきをしていた。
一組の夫婦が何かの儀式の祭壇に据えられていた。
集落の長らしき初老の男が唱える祝詞を聞いていると、どう考えても妻のお腹の子を殺そうとしている。
急ぎ足で集落を観察して廻ったが、どうも子供と大人の比率がおかしい。
私は殺す側に回されるのか、殺されるのか、どちらもおぞましいがここにいては選択権はなさそうだ。
間の抜けたポップスが聞こえてくる。
これは映画だ。劇中歌だ。私はオチのないスラップスティックの中に入り込んでしまったのだ。
必死で走って山道を下り、ようやくエンディングに辿りついた。
エンドロールのバックにまたあのポップスが流れている。バンドの連中がCDを何度もリピートさせる。
私は無理矢理プレイヤーからCDを抜いて地面に叩きつけ、映画の中から脱失した。
映画館を出るとき、主演の女性と桜の季節に宇和を案内する約束をした。
次にたまたま観客席にいた知り合いと映画の感想を話したりするうちに、すっかり現実に戻った。