id:quadratus
勝手に引用のことを語る

たとえば、薪のおきのなかで焼いたばかりの、とても熱い、白い、小さい丸パン、塩のきいたバタ、オリーヴ油のたっぷりかかったサーディン、牛の腎臓のひき肉料理。ポーチ・エッグに、いためベーコン、皮からはじけ出ているようなふといソーセージ、つめたいジェリーとタマゴの黄味が、パイの皮の下にかくれている自家製ブタ肉パイ。イチゴ・クリームには、こまかくふるった砂糖がかけてあり、ラズベリー・クリームには、かむと、かりかりするキャンディ式にかたまった黒砂糖がかけてあった。それから、とりたてのおいしいキノコとトリの煮たの。ミツバチのすのかたまりにクリームをかけたの。コーヒーには、ちょっと趣向をかえて、ざらめの白砂糖がついている。黄色いプラム。極上スモモ。そして、最後のしあげが、よく熟したパーショア産の青いプラム。
「ケイさん、よい朝食とは、こういうものだと、わたしは、つねに思っとります。」と、船長はいった。
― ジョン・メイスフィールド『夜中出あるくものたち』 石井桃子訳

船長、わたしも同感です。