アイルランド系アメリカ人は書斎に入っていて、もう肘掛け椅子から長い脚をにゅっと突き出していた。六十がらみの、背の高い、やせた男で、彫りは深いが、小さな山羊ひげをたくわえているために、何やらお人好しのアンクル・サムの戯画と言った風貌になっているのだった。吸いかけの湿った葉巻きが口の橋から突き出ていたが、腰をおろす時にマッチをすって、葉巻きにまた火をつけたのだった。「高飛びの支度ですかい?」と、あたりを見回しながら男が言った。それから、今はカーテンでおおわれていない金庫が目に入ると、彼はさらに言った。「ねえ、旦那。旦那の書類、まさかあん中じゃなかろうね?」
勝手に引用
ナイス潜入捜査中を紹介しようのことを語る