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今年の自分がこわい大賞のことを語る

去年11月に、好きで通いつめていたいためし屋さんのシェフが急に亡くなってそのままお店も終わってしまって、P氏もわたしもびっくりするほどダメージが大きくて世界は輝きを失い毎日のように心細くなったり泣けてきたりして、実をいえばどよんどよんに暗い気持ちを抱えて年末年始を過ごしていた。
1月の初めにシェフのお別れ会があって、一介の、比較的あたらしい客であったに過ぎないのだけど呼んでいただけて、修行時代の仲間の人とか長年お店を支えていた人とかに混じって行ってきて、お店をシェフと二人で切り盛りしていた奥様が、だれよりも悲しんでいるだろうに、家族として挨拶を受ける席に着く代わりにお店でしていたのと同じ青いエプロンをして弔問客をもてなす姿に改めて泣いてしまって、P氏とぼんやり無口なままお家に戻って、どういうわけか二人でおもむろにApple TVのスイッチを入れ、無言のままヱヴァンゲリヲン新劇場版の序と破を観て、(なんでこんな日にふたりでこんなものをみてるんだろう) という想いを特に口に出さないまま疲れて眠ったのだった。

というのが前置きで、その日以来、バスを待っていたり、紅茶を入れるお湯を沸かしたり、宅配ロッカーを確認したりという日々の隙間にふと気がつくと「いーつまでもーたえるーことなくーーーとーもだちでーいよおーーーーー」って口ずさんでいる自分が、わりとこわい。