家の若人らが用もない時刻に、退いて本を読んでいたのもまたその同じ片隅であった。 彼らは追い追いに家長も知らぬことを、知りまたは考えるようになってきて、心の小座敷もまた小さく別れたのである。 「明治大正史世相篇」柳田國男