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ポーののことを語る

創造した「天才的な探偵」は、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズにそのまま踏襲されて以来、現在に至るまで受け継がれており、クロフツが地道な捜査を旨とする「平凡探偵」を打ち出して例外を作るまでには80年の時を要した。また名探偵の活躍を語る凡庸な人物というのも、シャーロック・ホームズに対するワトソンをはじめ、欠かせないものとなっている。名探偵の引き立て役として警察を愚鈍に描く、という約束事もこの作品にすでに現れている。そして「出発点の怪奇性」と「結末の意外性」という法則や、謎の解決のためのデータを真相開示までに読者に提示しておく「挑戦」の原則、密室を初めとする不可能犯罪とそれを可能とする「トリック」、推理を最終場面で一括して披露する形式、また作品全体に通底する衒学趣味など、いずれも「モルグ街の殺人」で描かれている。読者が「真犯人」を容疑者としてリストアップできないことや、「密室」の状況説明の不十分さなどが、現代の推理小説のルールからは外れているとの指摘もあるが、この作品を基に、ポーの死後、推理小説というジャンルが成立したのであるから、それは本末転倒の批判である。

ポー、すごいなあ