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為程のことを語る

ついでに言えば、ぼくは昔から一貫して自殺の権利を擁護してきました。自殺は残された者に耐え難い苦しみを与えると言いますが、そんなことを気にしていられないほどの苦しみの中にある人が、その苦しみを現実的に解消する手段として自殺を選んだとしても、誰もそれを非難することはできないでしょう。とくに、医療が発達し、終末期に苦痛の多い延命を強いられるケースが増えてきた今日、(「安楽死」や「尊厳死」という婉曲語法は嫌いなのであえてはっきり言えば)自殺と自殺幇助の合法化は喫緊の課題だと思います(悪用されない形で法律化することは技術的にきわめて難しいだろうとも思いますが)。むしろ、じりじりと追いつめられて最後に首吊りや飛び降りに至るより、いざとなれば誰でも手軽に利用できる自殺幇助システムがあって楽に死ねると思えれば居直って生きることもずっと容易になるのではないでしょうか。

—浅田彰
http://realkyoto.jp/blog/asada-akira_160227/