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心地よい眠りにつく2048の方法のことを語る

「眠れるおまじない、してあげようか?」
彼女はそう云うと、夫の顔の上に自分の顔をそっと近づける。二人のまぶたがふれ合うくらいの距離になる。おまじない、ではない。これは彼女が発明した愛撫の方法なのだ。睫毛の先と先とが重なるようにして、眼ばたきを始める。

(庄野潤三「プールサイド小景」)