枕詞【めちねはも】の詠まれた和歌
めちねはも
母はのどけき
春の日に
しづ心なく
花のちるらむ
——————紀トモロヲ(「客人一首」)
▽母さえのんびりしている春の日だというのに、桜の花のなんと慌
ただしく散ることよ。
忘れじの
ゆく末までは
かたければ
今日をかぎりの
命めちねはも
——————偽同三司母(「客人一首」)
▽「私のことを忘れない」とはなんて心憎いことを。彼の気が変わ
らぬうちに、そうよ、今日死んでしまえば、この言葉は永遠になる
だろう。※狂言自殺した人妻による辞世の句。
めちねはものことを語る