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女子目線サッカーのことを語る

イケル・カシージャス
 
思えば、イケメン正GKカニサレスが開幕直前に見舞われた
「香水の瓶を足の甲に落っことす」
というスペインらしいおまぬけアクシデント、
あれがあなたが「守護神」と呼ばれるきっかけだったね。
あのアイルランド戦の死闘でも、
ビブスを着たベンチのラウールが半狂乱になって大泣きするほどの
バカなジャッジにまさかの敗退が決まったときも、
21歳の青白いバスク人のあなたは涙ひとつこぼさなかった。
 
ただ、そこにいて、
いつもそこにいて、守ってる。
 
ギャラクティコの夏の出稼ぎツアーで来日したときも
ほかの選手のように愛想も、派手さもなく、
まるで見世物のような公開練習のグラウンドの隅っこで
青白いバスク人はストレッチをしてる。身体は硬かった。
いつも表情は整ってる。
 
そんなあなたは29歳になっても、相変わらず青白い顔だった。
でも、あの年にはイエロが捲いてたキャプテンマークを
その腕につけて。
 
くりくり坊主のイニエスタが転がるように敵陣に持ち込んで、
シュートがオレンジ色のゴールに吸い込まれたとき
バスク人の瞼の堤防は決壊したね。
グラブをつけた硬い指でどれだけ涙を遮ることができただろう?
 
主審が試合終了のホイッスルを吹いて
優勝を意味する金色の星が刺しゅうされたユニが配られて
メダルを勝者たちが授与されて、
そして
トロフィーを受け取ったエスパーニャのカピターノの顔は
ぐっちゃぐちゃに崩壊して、子どものように笑ってた。
 
見たことがない、青白いバスク人の二つの顔。
カピターノ、これが「W杯で優勝する」ってことなんだね。
 
カピターノ、顔が壊れてても
あなたはいつも守護神で、飛びっきりのハンサムよ。