今朝3時半。外で時折響くハサミの金属音で目が覚めた。すごく近く、ベランダでなってる気がして怖くなった。ベランダ側の窓は夕べ網戸のまんまで休んでしまったことにも気づいて眠気が一気に吹っ飛ぶ。……もし、誰かがベランダにいたら侵入されちゃうよ!
チョキン……チョキン……ガサガサ……物音は続いてる。怖いけどそーっとカーテンを細くめくってベランダを覗いてみた。ひとまず安心。うちじゃない。
物音がしてるのはうちの建物に隣接してる、坂の下の空き地だった。そこはたまに園芸してて言葉を交わす近所のおじさんが所有してる。春先にフキノトウがたくさん出て、今はフキが茂ってる。暗い朝の闇の中でで、黒づくめの人が吟味しながらそのフキを刈っていたのだ。
だんだん辺りが明るくなって来たら、それが短髪の髪を茶色に染めた60~70代の女性とわかった。青いトートバッグに刈ったフキを入れている。4時過ぎに十分収穫したのだろうか、緑のゴム手袋を脱いでハサミと一緒にバッグにしまうと、うちのほうに坂を上がり、逆方向の坂を下っていった。その姿と行く手を目で追って確認した。途中、声をかけるか迷ったけど止めた。
あのチョキン……ガサガサ……は寿命縮む思いをした。最初、暗闇でフキの中を這いつくばってゴソゴソ動く姿見て「クマか!?」って思ったもの。
盗みに来るほどフキが好きなのかもしれない。けど、おじさんに頼めばくれるよ?フキノトウだってもらったし。
ともかく、こんな気味の悪い起こされ方は二度と御免だ。