【トリック】
コンビニはもうハロウィン一色だ。
ハロウィン限定食玩のフィギアももうすぐコンプリートだが、まだ一つそろわない。そろそろ店頭から消える頃なのでまとめ買いしよう。
アパートに着くと、明らかに様子が変だ。自分の部屋で紺色のつなぎの人間が数人何かしている…あわてて部屋に戻ろうとするが、中からスーツ姿のおっさんが出てきて俺を止めた。
「ダメだよ勝手に入っちゃ。」
「僕の部屋で何やっているんですか!」
「君の部屋?中ちょっと覗いてみな」
言われて部屋をのぞいてみると女性がうつぶせに倒れているのが見えた。頭から赤黒いものがフローリングまで染み出して…「ひっ!人がっ!」
「凶器はかぼちゃ。かぼちゃで後ろから殴られてテーブルの角に頭を強打した…で、間違いない?」
「なぜ僕に聞くんですか!?」
「だって君、犯人でしょ?」
「違います!今仕事から帰ってきたばかりで…僕は何も知らない!」
「そう?それは?」
そう言って僕の手にあるコンビニ袋を見た。
「こ、これはコンビニで買った菓子で…そうだ!コンビニのレシートに時間が書いてある」
「ふーん。その袋、もらっても?」
「ええ!袋の中にレシートが入っています。」
「そりゃどうも。・・・おーい、菓子もらったぞー」
突然おっさんが大声で部屋の中に呼びかけた。するとぞろぞろ部屋の中からつなぎの人たちが出てきた。「今回は早かったなー。」「次はどこだ?」「2丁目らしい。」わいわい言いながらアパートの横に止めてあったバンに乗り込んでいく。
「菓子が何ですか?あげるなんて一言も…」
「それだよ。」
「え?」
「食玩の菓子。買っただろ君、『ハロウィンエッグ~ミステリーver~』コンビニで、んでこれ。」
おっさんは菓子の箱を一つ開けて中身を俺に渡した。もらったものを見ようとするとおっさんはさっさとバンの中に乗り込んでいった。
「菓子はもらったからトリックは終了。じゃあね~」
「まてよ!なんなんだよいったい?!」
僕は手渡されたものを見た。それは、食玩についている説明の紙だった。
No000 シークレット ~トリック オア トリート「凶器はかぼちゃ?!」~
横にある絵が部屋の中の女性とそっくりだ…
「シークレットって…今のが?」
ハロウィン超短編まつり(>w<)2010のことを語る