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かがみのことを語る

学問はどの分野でもそうであるが、問題を客観的にとらえるためには対象を相対化し、特定の価値評価から自由となってものを見ることが保障されなくてはならない。(中略)
 このことは歴史の見方が”ニュートラル”とか”公平”であらねばならない、ということとは違う。歴史を見るものは不可避的に一定の価値判断をもつ。歴史研究・叙述は不可避的に価値判断にもとづく史料・史実の選択を行うから、そうした判断・認識をさまざまに行い提起する自由が保障されることによって、歴史認識の客観性を確保されるのである。
 
永原慶二『20世紀日本の歴史学』吉川弘文館、二〇〇三年、一二五頁。