「棚橋光男らの批判」って『後白河法皇』p70の
「――この男色関係のネットワークが政治構造の変動に微妙に作用したことも、研究史上知られた事実である。五味文彦「院政期政治史断章」[一九八四]はこの問題を歴史の暗闇から引き出した功労者だ。ただし、この事実を前にして、「一時期院政期社会への興味を失」うか、それとも尽きぬ興趣を覚えるか、それが五味と私との違いだ。」のことか?
まったく「批判」にはみえないんですけど。
大体「日本史を学ぶ学生」って誰よ。私も一応その範疇だけど、中世史やる人間じゃなきゃ読まないでしょう、こんな論文。あと日本文学の人(文学の授業で『台記』朗読された日にゃ学生がどよめきたったものだった…。あーしかも五味論文やら棚橋論文やらで引用されてる箇所だわ。あの先生絶対ここらへんの論文読んでんだろー)。
「気味甚だ切なり。遂に倶に精を漏らす。希有のことなり。この人、常にこの事あり。感嘆最も深し。」(1152年8月24日条)
しかし棚橋さんのこの本(『後白河法皇』)はほんとに読みやすい。講談社学術文庫とは(旧版は選書メチエ)思えない。一般啓蒙書っぽい文体。棚橋さんご自身もかなりキャラの立った方だったらしい(若くして急逝。しかし高橋昌明の解説が泣けるなあ)。パンチパーマにヒゲって。
かがみのことを語る