永井路子『茜さす』に何度か出てくる印象的なことばに「輪切り人生」というものがある。
女性の人生は学生時代と社会人とでまったくやっておることが異なり、転換期それぞれですっぱりとそれまでの生活を捨ててしまう、というもの。
考えてみれば男性にもそういう生き方をする人は多そうだが、この本が書かれた1980年代後半には、結婚・出産によって、学業や仕事からすっぱりと「足を洗って」、まったく別の人生に踏み出す女性の生き方が、かなりメジャーだったのだろう。それによって、女性の生涯賃金は男性に比べてかなり低く、よって地位の格差も激しかった。
振り返って自分はといえば、学生時代の専攻とはまったくかかわりのない業界で働いている。しかし、歴史学を「すっぱり捨て」たりはしていないし、関わり方の変化はあれど、「関わっていく」こと自体をやめたりはしないだろう。余暇の時間が極端に減って、論文を読んだり学会に出たりということは不可能に近いけれど、切り離したり捨てたりしたとは思いたくない。
今後は結婚や出産で仕事をすっぱりやめたりしたら、今の時代ではリスクが高すぎるだろうから、そうはしたくない(ただ、うちの会社はそれに関してフォローが充実している会社だとはとてもいえない)。
さて、どうなるかなー。
いろいろ戦略を考えて少しずつ実行して、リスクヘッジするしかないんだろうなー。
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