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でこぽんのことを語る

【ブレードランナー2049】(深読みで、批評になっちゃうから自分のページで)

1982年の前作を映画館で観て(単純にハリソン・フォードファンだった未成年時代)
その後も深夜テレビやレンタルビデオで借りたりDVDになってはディレクターズカットも購入してる私。
今まで1回程度しか前作の記憶が無い人にしてみれば「良かった」「感動」とかの印象何だろうけど…
現代の最高の映像技術で以前の様な世界を制作したのは、確かに美しくなって凄いなーとは思う。

でも観終わってのモヤモヤ感は前作の様な登場キャラの「哀しみ」みたいなのが薄くなった気がする。
実際に近年は結婚せずに独りで生きる人が増えてるし、昔風に言えばダッチワイフ型の高度なドールや
孤独を埋めてくれる家族代わりのペットに代わるロボット達の潜在的な需要が有ると思ってるし
人手不足の職場なら人気のないハードな仕事にレプリカント達が就いてくれれば助かると思う。
でもレプリカントは外国人労働者より優秀で人間を裏切らない存在でなくては意味が無い。
「長く生きたい・子孫を残したい」なんて、人間側からしてみれば存在を脅かされる危機なワケで…。

これは現在置かれてるアメリカやヨーロッパの状況を少し暗示していると感じてた。
(安い賃金で難民や不法滞在者などの外国人労働者が経済の底辺を支えている社会の構造)
日本も他人事ではない。働いてお金貯めたんだから帰ってね!なんて家族も作ってたら帰国しないよ。
「外国人にも人権を!→選挙権を!」って自分たちの生存権を主張するのは当然ではある。
そんな潜在的な恐怖があるから前作では躊躇なく(非人間の)レプリカント退治をしてたデッカードが
ミイラ取りがミイラになってしまったエンディング。非人間にも愛情があるのを感じたわけで…。

映像は前作の雰囲気を引き継ぐやたら暗い街並み、そこにサイケな巨大なフォログラムや3D映像とか
ロスの設定だから、ハングルもチラッと映ったりしてた。ロスに不似合いな雪も印象的だった。
キャラ設定の薄さに不満を持ったのは、前作ならルトガー・ハウアーがやった役割を担わされた印象の
ラブ役のシルヴィア・フークス。彼女は美しく強かったけど、ルトガー・ハウワーの様な内面の
ディテールが無いから、彼女が何の為にそこまで憎しみ込めて最後まで戦う必要があったのか理解できず。
前作は自作ロボット家族に囲まれた引き籠りのエンジニアやアールヌーボー時代の女性みたいなレイチェル
退廃的な(時計仕掛けのオレンジっぽい)ダリル・ハンナ。主役以外もとてもキャラが立ってた。
勘違いな(父息子)スターウォーズっぽくするより、その辺りを掘り下げて欲しかった気がしたのだった。