『Maiko ふたたびの白鳥』@恵比寿ガーデンシネマ
初っ端から泣かされる。いやー、これはズルい始まり方! しかし、シビアなバレエの世界を語るしっかりした西野麻衣子=マイコの声と、レッスン中のきっちり上がってる胸筋や横隔膜のプロな身体、舞台袖で気合入れるためにマイコが自分の太腿をぱしーんぱしーんと叩くところは、バレエの体育会系なところを表していて上手いな! というところで、その涙もすぐ乾く、と思いきや……。
なんかもう、いろいろ心揺さぶられました。女として仕事を続けることで、仕事の場での誰が味方なのか敵なのかハラハラするところ、産休中の代役にキャリアを奪われるのではという怖れなどなど、子どもはいないけど思い当たる節々が痛くてたくさん泣いた。
そしてこの映画の何が魅力って、やっぱりマイコの強靭なメンタル。何度でも言いますが、ナタリー・ポートマンの『ブラック・スワン』での主役張るのにあの虚弱なメンタルって、あり得ないんですよね。あの映画を擁護してる人でも、この映画を見たらそれがよくわかると思う。
同時に母と娘の物語でもあり、いかにもなたくましく厳しい大阪のオカンのキャラクターがはまりすぎて、そこでも笑ったし、泣いた。これ、お子さんと一緒にバレエ頑張ってるお母さんが見たら、目が腫れちゃいそう。あるいは、あ、うちはそこまでできないや、と悟るか。
あと、バレエダンサーとして身体を作り上げているので、妊娠してからの変化がすごーくわかりやすいのにびっくり。だからこそ、えっ、そのお腹でこんなレッスンして大丈夫なの? と、彼女のお母さんと一緒にハラハラさせられる。
そしてハラハラといえば、ノルウェー国立オケがあんまりうまくないのにもハラハラ。東京バレエ団の伴奏ちょい上くらい? 演奏会とバレエ伴奏は別物で、前者のレベルを後者に求めてはいけないのかしら、などと思う。