『レッドタートル』
高畑監督が入れ込んでいる、という話から、単なる癒し系映画ではないんだろうなと思っていたけど、思っていた以上に身もふたもなく、容赦ない映画でした。物語の骨子はポリネシア系のよくある神話なのだけど、サブタイトルが「ある男の物語」ではないところが、みどころ。
見終わってから夫の人と話していて謎だったのは、
・最後に島の外に出る「男」はどこに向かうのか
→夫の人:タートルの世界に戻る
→わたし:いやそれなら荷物なしで身一つで行くのだろうし、あの「道具」に触発されないのでは
・なぜタートルは「男」に寄り添うことにしたのか?
→夫の人:神だから
→わたし:1・「えっ、殺したいほど外に出たかったのにすみませんでした」の、せめてもの慰労、2・最初から子種を求めての行動だった
などでした。見る人によって、美しい画面の各所へのフォーカス具合も含め、微妙に見え方が違う映画だと思います。『シン・ゴジラ』『君の名は。』に加え、今年の夏の映画の傑作。わたしのなかでは芸術性ではダントツの1位。あと、「レッドタートル」の振る舞いはちょっと『紅い眼鏡』の少女にも似てますね。