TUFS Cinema:チベット映画特集(@東京外大府中キャンパス)
アクセス悪い場所での昼12時開場というのは、ふだんその時間にようやく起床する自分にはつらいのですが、がんばって行ってみた。
1本目の『ティメー・クンデンを探して』は、えーと、早起きしたせいか、ほとんど寝てしまいました。チベット版「幸福の王子」の出演者を探すロードムービーなんですが、映画に起承転結あるストーリーを求める方なので、ロードムービーが苦手で。
ただ、時々目覚めた時の画面、画角が秀逸でした。がらんとしたカラオケパブでの倦怠感漂う宴席が正面からしばらく映り続けるシーンは最後の晩餐の絵のパロディのようだし、チベット人地区での中国版団地が並ぶシーンは松本大洋のマンガみたいだし。
監督自身によるノベライズが出ているので、それを読んでみようと思います。
で、1本目と2本目の間に配給会社の人と、外語大でチベット研究をしていてチベット人監督の映画の字幕監修もしている星泉先生のトークショー。これがメイキング好きにはかなり面白い。
・ここ最近の秀逸なチベットの現代を描く映画の監督3人は、チベット人監督が群雄割拠してる中から出てきた精鋭かと思いきや、先兵だった
・今日の2本の映画の監督、ペマ・ツェテンを知ったのは、ジャ・ジャンクー(中国人監督で『山河ノスタルジア』など)が「なんか面白い作品撮るやつがいる」と言ってきたから
・ペマ・ツェテン監督の実質的デビュー作『静かなるマニ石』を生前のキアロスタミ監督が絶賛していたが、たしかにいろいろとキアロスタミっぽい血筋を感じる(これは私も感じましたが、キアロスタミが厳しい状況を明るいほうへ引っ張る撮り方なら、ペマ・ツェテン監督は重くてつらい状況をごろんとそのまま寄越してくる感じ)
・同じ監督でもカメラマンが違うとこんなふうに違う、とか。
22日の土曜日にも別の作品でチベット人監督の映画上映会があります。特に2本目がおすすめですが、1本目と、そのあとのトークショーとセットだと、より立体的に現代チベットの生活と世界が脳内に立ち上がってくると思います。
無料ですし、有料でもこんな組み合わせにトークショー付きなんて贅沢な上映会はなかなかないと思いますので、みなさまぜひ。