id:Mmc
最近観た映画のことを語る

『世界でいちばん美しい村』@東劇

仕事の日より早く起きて東銀座の東劇へ。今日はネパール大地震の震源地にもっとも近いラプラック村の被災後の再生を描く映画『世界でいちばん美しい村』の午後1時の回のあとに石川梵監督と関野吉晴さんのトークショーがあるのだ。

映画はとても引き込まれた。どれくらい引き込まれたかというと、終盤、村から見えるヒマラヤの向こうから朝日が昇るシーンで「わあー、映画みたい」と思い、「いや、映画だし!」と自己ツッコミ入れてしまったほど。

このネパール山間部の村は、チベット仏教伝来前からのボン教・チベット仏教・そしてヒンズー教の入り混じるところ。そこが民俗学的興味や田舎なるものへのノスタルジーからだけではなく「リアルに同時代を生きてる人たちの姿」をきわめて誠実に記録され、彼らと我々のつながりを示唆している。

かといって宗教的な部分がないがしろなわけでもなく、むしろがっつり気味で、日本の都市部で育ってきていると、信じられないようなエピソードもある。不思議にバランスのとれている映画。

しかしなにより世界で活躍する写真家である監督による画面の美しさが圧巻。空撮のプロだけあって、息を呑むような絶景が、息を呑むような画角で撮られ、ドローンを効果的に使った部分あり(ここはチベット仏教的に非常に考えさせられるシーンでもある。最先端技術と伝統宗教のみごとな合体ぶりに舌を巻いた)、どうやって撮ったのかよくわからない部分あり。

その他、おおっと思ったところ。
・お供えのヤギの代わりの胡瓜のヤギ(それ知ってる! 茄子でもやるよね!)
・この村ではレッサム・フィリリーではなく、レッサム・フェレレーなのね
・雪の降った村の様子は長野の実家(山間部)のお正月みたい
・とにもかくにも蜂蜜採りのシーンの物凄さよ!

見て損はない、というか、いろいろ自分のできることについて、考えさせられる映画でした。いちばんの被災地に迷いなく飛び込む監督とは違う凡人な自分は、伝手を得てつながった人を支援していく、というこれまでのやり方が合っているんだなあ、とか。

チベット問題周知ボランティア、ネパールにいるチベット人支援などで、今までそれは効果的なのか、とか焼け石に水なのでは、とぐらぐらと考えたこともあったけど、上映前に監督のサインをいただいたパンフレットに、映画支援者の一人として名前が載ったことで、いや、このやり方でできることを続けていけばいいのだ、と持ち直した感があります。

終わってからはロビーでマイマイ新子の絵コンテコピーを眺めた。なおこのあと、片渕須直監督と石川梵監督の対面が実現していたらしい。