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印象に残ってるライヴのことを語る

1998年4月6日 川崎クラブチッタ 、
Thee Michelle Gun Elephant 『WORLD CHICKEN ZOMBIES TOUR』。
同ツアー序盤にあった赤坂ブリッツ公演も見ていたのだが、この日は終盤戦。
過酷なツアーを消化してきたメンバーの体力が、かなり消耗しているのは俺の目にも明白だった。
にも関わらず、演奏している4人は楽しそうで、
疲れきった、青ざめてすら見える顔に時折笑顔さえ浮かべているのである。
もはや彼らの体を、楽器を演奏する手を動かしているのは本人の意思以外のものであるように見えた。
まさにモッズスーツを着た「ZONBIES」。鬼気迫るというか鬼そのもの。
 
…で、そんな壮絶なライヴも刻々と終わりが近づいていき、
たしか2度目のアンコールの時だったと思う。
Dr.のクハラのことは覚えていないのだが、
ステージに戻ってきたBa.のウエノとG.のアベは、ビールの缶を手にしていた。
そりゃこの暑さだ、ビールも飲みたかろうよ。
ビール飲みのチバもそうだろう…と思っていたのだが、
チバが手にしていたのは水のペットボトル。しかも彼は、それを自分では一口も口にしなかった。
チバはボトルの水を、サウナ風呂さながらの客席に向かって、
なるべく広い範囲に降りかかるように少しずつ少しずつ撒いたのだった。
 
…ちょうど10年経つのだが、あの時のチバの表情が今でも忘れられない。