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古代史妄想のことを語る

古事記と日本書紀には共通して二つの王権起源説が記されている。一つは天照大神が言依せしたという神授説で、もう一つが大国主から譲り受けたという禅譲説。しかし記紀の構成は全体としては神授説に傾いている。
禅譲説を説く国譲り神話は記紀の中で異質であり、神授説の立場から見れば邪魔でさえある。にもかかわらずこれが重要な位置を占めているのは、記紀編纂当時においてこれが動かしがたい史実に基づくものであると考えられていたことを示唆するのではあるまいか。
そしてその実年代は、畿内における古墳時代の始まりをヤマト王権の起源と見る場合、国譲りはその前段階であるのだから、三世紀の後半、おそらく260〜290年頃の範囲に限定できるのではないだろうか。