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思っちゃったんだからしょうがないのことを語る

選手ももちろん採点基準を研究してプログラムを組んでいるのですが、でもファンから見ても「なんでだよー!」っていう間違いをやらかす事も実はあるのです(^^;)
それは選手とそのスタッフが素人だからではなく、シーズンの最中にも更に点数を上乗せしようとしてプログラムの構成をいじって、またいじって・・・とやっている内にうっかり間違えてしまうとか。ルールの複雑さ故ですが、例えば女子フリーは4分間の演技時間に12の要素が入っていて、それを判断するのだから複雑化するのは道理だと個人的には思います。
まあこれは今回のワグナーの件には関係ないですが。

余談からはじめてしまいました。
まあオタクというかファンも素人なので、断定的にこうだとは言い切れないのですが。
ただ得点詳細は公表されているので、全てがブラックボックスに入っているわけではないです。

フリーの得点、ワグナー127.99、リプニツカヤ135.34の内訳は
ワグナーのTES(総要素点)61.07+PCS(演技構成点)66.92=127.99
リプニツカヤはTES66.28+PCS70.06=135.34

TESはジャンプ、スピン、ステップシークエンスにつく点数です。
各要素で二人が獲得した点数を比較すると、ジャンプはワグナー43.62、リプニツカヤ44.78、スピンはワグナー10.36、リプニツカヤ13.33、ステップはワグナー7.09、リプニツカヤ8.17です。
この得点の点差に関しては、ものすごーーーく大雑把に言うと
・ワグナーは細かいミスをジャンプとスピンで少なくとも4つしていて、GOE(出来栄え点)がついていない
・リプニツカヤは元々ワグナーより高得点を取れるジャンプの構成を組んできている。
・リプニツカヤはジャンプのミス(ジャッジスコア上少なくとも3つ)を、スピンの高評価で補っている。
という事がジャッジスコアからうかがえます。

ワグナーの細かいミスは、ある程度の年数競技を見ていて、採点表と演技をつき合わせて見たり、ルールについて多少調べたりをしているファンは見て分かる種類のミスですが、そうでない人は気付けなくて当たり前というものなので、点差に戸惑う人がいるも分かります。

PCSはワグナー66.92、リプニツカヤ70.06。
これは5項目を10点満点で評価する得点で、5項目は
スケート技術(ワグナー8.46、リプニツカヤ8.68)
要素のつなぎ(ワグナー8.07、リプニツカヤ8.46)
パフォーマンス(ワグナー8.50、リプニツカヤ8.68)
振り付け/構成(ワグナー8.30、リプニツカヤ9.00)
曲の解釈(ワグナー8.43、リプニツカヤ8.96)
となります。
ここは正直きちんと勉強をした専門家でないと正確な説明をするのは難しいのですが、ただ今シーズン当初から、リプニツカヤのプログラムは評価が高く、更に先に述べたように技術的にも高度なもので、それを特にシーズン後半に2度ほどほぼミスのないPGを見せたことで、評価が底上げされていったというのが、個人的に競技を見ていて受けた印象です。
一方ワグナーは、シーズン当初に違うPGで滑っていましたが、思ったような評価が得られず、全米選手権から五輪の間で以前滑ったPGに戻しました。こういった作戦は、実はPGの評価が上がる場合もある一方、滑り込んでいないためにミスをしてしまったり、却って評価が下がってしまうというリスクもあります。
長々と書いてしまいましたが、今回の2人の点差について妥当かどうかを判断するには、見える範囲でこういう要素がありますよ、という話でした。