母の祖母だったか曾祖母だったかが、当時としてはなかなかアナーキーな人生を歩んだお嬢様で、まあ最終的に和裁の先生をやって生計をたてていたらしい。そして当時から編み機を持っていて使いこなしていたとか。
心臓麻痺で突然逝ったそうで、編み機にはカーディガンがあとはボタンをつけるだけという状態で残されていたと。母が着てみたらピッタリのサイズだったそうだ。
一時期洋裁の仕事に就いた事もある母は、縫い物も編み物もその祖母だったか曾祖母だったかに教わったそうだ。
残されたカーディガンはボタンをつけて母が着て、成長したらほどいてその毛糸でまた別の服を編んだそうで「毛糸は何度も解いてずっと使える」とよく言っていた。
それだけ編み物に思い入れのあった母が、好きな作家の編み物の本の存在を知ったのは大分後で、いつか読んでみたいねとよく言っていた。
まあでも当分手にするのは難しいでしょうね、現状では。
穴の塞がったえむぞうのことを語る