出水康生『怨みまするぞ信長殿』
普段から売ってるのかこの日限定なのか分かりませんが、大阪歴博の売店でパラパラと読んでみて面白そうだったので購入、著者は「三好長慶会」代表、徳島の方。
タイトルからして信長コンプレックスむき出しな感じですが、副題を「戦国おもしろ百話」として多少の独断を交えての三好氏関連エピソード集といった内容です。
阿波細川氏や三好氏については結構しっかりしてて、三好の時代から今に繋がるという視点で語られる阿波、祖谷山の話も面白いです。
ただ、信長や一向宗については2014年に出された物としては、ちょっと首をかしげる(古い)部分もあってチグハグな印象を受けます。
前書きには象徴的な内容がありました。
東京大学史料編纂所が刊行している『大日本史料』が永禄11年から信長のために27巻、秀吉のために26巻と別冊2巻、家康のために59巻もの冊数を費やしているのに対して、信長以前の「中世末期」とされた細川・三好の時代は26巻でようやく大永4年(1524)に達したばかりとのこと。
そうした状況から小説やドラマなどを通じた三好一族の周知に期待できない今は、反信長を前面に出して逆張りすべき時期なのかもしれませんが…それならそれで、最新の研究を踏まえて批判しないと逆効果なんじゃないかなと。
まあでも、読みやすくて内容豊富なのに値段は1000円と手頃だし、反信長的な部分を除けば興味を引く内容が多かったので、取っ掛かりとして良い本だと思います。