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ホリィ(新人)のことを語る

津野倫明『人をあるく 長宗我部元親と四国』、読み終えました。
20年前の歴史雑誌レベルで知識が止まってる僕には通説の見直しが刺激的で面白かったです。
大きなところでは、有名な「一領具足」が史料からはいわゆる半農半兵であったと確認できないばかりか、実際に長宗我部氏独特の制度の呼称であったのかも検討が必要な状況であることと、伊予では河野氏が湯築城に、阿波と讃岐でも三好氏の残党が抵抗を続けており、従来よく言われてきた「四国統一」との表現は改めるべきという話です。
今ちょうど漫画「センゴク」でその辺が描かれているので、かなりワクワクしてます。いいタイミングでした。土佐泊の森氏もそうですが、三好三郎(存保)が最後まで虎丸城で粘ってくれることを期待します。

あと、文章の後で参考元の論文名を括弧書きで入れてあったんですが、よくある後注の連発よりも読みやすくて良かったです。深く知りたい読者への誘導のためか、論文著者への配慮なのか分かりませんが。
若松和三郎『戦国三好氏と篠原長房』でも似たような形式でしたが、あれは独自の略称が使われててちょっと読みづらかった。『新釈 備中兵乱記』はたった数文字の注釈が全部後注になってて最悪でした。