改めて
仁木宏・福島克彦編『近畿の名城を歩く 大阪・兵庫・和歌山編』(吉川弘文館)2400円+税
よくある城巡り解説本と違ってカラー写真などは少ないですが、執筆者は歴史や城郭・都市遺跡を専門に研究されてる方ばかりなので、解説の内容が最新の研究成果をしっかり反映されてるかなぁと。
現在は観光スポット的な扱いをされていない遺跡や、居館や寺内町に区分される史跡が含まれているのも特徴です。
仁木氏の序論「戦国時代大阪の城と町」では、三好政権の都市政策を「既存の都市・交通の隆盛に経済発展をゆだねる無城下町政策」として、そういう戦国期権力のあり方を改めて都市化を進めたのが織豊政権で、そのために焼き滅ぼされたのが大坂(本願寺)であったとの評は腑に落ちました。
逆に、畿内武家政権に従順であろうとしていたはずの本願寺が信長の敵対勢力との提携を選んだ理由も、信仰の問題ではなく、都市にまつわる権益の問題と見られているのでしょう。