この『鳴呼古英雄』、時代の空気なのでしょうか、とにかく言葉遣いが大仰でカッコイイです。
「織田信長」より
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/777379/69
>彼れは狼豺のごとき武将なりき。彼れが生涯は猛虎の寒月に囁くが如きものありき。一度吠ゆれば、眼中一物なし、草木また慄きたりき。
>蓋し彼れが過を改めむと云ふもの、唯た一時の悔悟に過ぎざりき。後年二十四ヶ国に将がるや、父が仏前に抹香を投ぜし不敵の精神は、再び焔の如くに燃え揚がりて、彼れは是れが為め、天下のことを誤りしなり。光秀彼れを殺せしにあらず。彼れ彼れを殺せしなり。
>彼れは、狼豺の如くに産れて、狼豺の如きを好み、また狼豺の如くに殺されき。
>彼れの生涯は、修羅道なりき。
明治以降、信長は勤王家として顕彰され、教育の世界では信長を祀る建勲神社の名を覚えさせる「かるた」があったという程ですが、伝記の世界では案外、裏切りによる最期というのは厳しい評価だったのでしょうか。