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ホリィ(新人)のことを語る

侍の生き様と死に様を描くのが平田先生なので当然ですが、作中では土佐藩に同情的な描き方で、町人の要請に応じてフランス兵の狼藉を制止しようとするも無視され、軍旗を奪って洋上に逃げようとしたためにやむなく発砲し銃撃戦という流れで、一方的なフランスの要求を飲まざるを得なかった新政府の弱腰を批判するような内容でした。
慶応4年2月といえば鳥羽伏見の戦いの直後で、将軍はすでに江戸へ逃亡し大阪城は開城、堺奉行所の役人も散り散りの大混乱に陥ったため土佐藩が警備を担当している状況です。幕府に肩入れしていたフランス軍が当時まだ開港していなかった堺に無断で上陸となると、当然放っておくわけにはいきません。
土佐藩は1ヶ月ほど前に起きた神戸事件の余波を受けて、神戸でフランス兵に錦の御旗を奪われる失態を演じたばかりで、その影響もあったかもしれません。
新政府はフランスの要求を飲んで賠償金15万ドルと発砲した土佐藩兵20名の処刑を決め、フランス海兵隊立ち会いの元で11人が切腹したところでフランス側が中止を求めたという話です。