で、今これ読んでるんですが
すっごい面白いです。時代の異なる粉本の構図を元に描かれていて実際の姿とはかけ離れているケースがあるにせよ、時代背景と共に誰に対してどういう目的でというところを考えて「絵を読む」ことで、文書とは異なった面で史料になり得るということが、よく分かります。以前の千田嘉博先生の講演でも思い知らされたことですが。
とりわけ歴博甲本は義晴・高国を主題として京兆家の最盛期を描いたものという前提で、武者行列が描かれた場所を見ると、これは畠山稙長じゃないか、とかそういう人物の特定までされていて、洛中洛外図屏風の見方が変わります。
将軍義輝が上杉謙信に贈るために描かせたという上杉本には、義輝のいる御所へ向かう上杉謙信が輿に乗った姿で描かれているという話ですが、歴博甲本で細川邸の前に描かれていた毛氈鞍覆の馬が、ここでは御者を振り切って逃げ出す様子で描かれていて、細川家から権力が逃れていったという一種のパロディになっているそうです。
そんな中でも、三好筑前の邸宅には永禄4年の御成の際に新築された冠木門が描かれ、松弾正邸では左義長の様子が描かれているそうで、将軍は両者を幕府から排除しようとは考えてなかったんじゃないのかなぁと。そんなことも思いました。
ホリィ(新人)のことを語る