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ホリィ(新人)のことを語る

浦上則宗が有馬温泉に湯治へ行った際、「鼓ヶ滝で大声をあげると滝の水が一気に落ちてくると言う俗説を試そうと、浦上則宗が夢中で叫び声をあげ」という話が、桜井英治『室町人の精神』(講談社学術文庫)に載っているとtwitterで聞きつけまして、検索してみたところ、面白い論文を見つけたのでこちらでも紹介。

綿田稔『自牧宗湛』上・中・下の三本構成でめっちゃ長いんですが
(上) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006480351
(中) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006480354
(下) https://ci.nii.ac.jp/naid/120006480358

浦上則宗の話は『蔭涼軒日録』文正元年閏二月八日条からで、(上)に掲載の史料85で該当箇所が読めました。
>俗曰鼓瀑高声叫。即瀑水急落云。仍浦上美作守往于瀑而再三叫。人皆笑之。

解説は(中)にあります。当時の武家の湯治の様子や、観光地としての有馬温泉の歴史が窺えて全体的に興味深いのですが…。

>後半は現代語に訳すことをはばかられるが、もともと酒乱の気のあった成知客のおかげで、宗湛がこの宴席でとんだ災難に遭遇していることがわかる

これがなんの話かっていうと…

>其狂顛困堕之時且垂糞。其香満座。人皆掩鼻。其余湿触于自牧翁之手。其臭気不已。使之所司代戯嗅之。又掩鼻。殆為不堪。

成知客(飯尾之種の使者で、来訪後そのまま滞在したらしい)が脱糞してあまりの臭さに皆鼻を掩ったが、その「余湿」が宗湛の手に触れ臭さが止まらない。所司代(多賀豊後守高忠)が戯れにこれを嗅いでまた鼻を掩った、そんなクソ記事(笑)でした。
「糞を垂れる」って表現がこんな昔からあったってことも、面白いです。