「俺今日アスペルガーを見たかも」
「へえ」
「ちらっと見ただけだけど俺にそっくりだった。俺死んじゃうのかな」
「ドッペルゲンガーじゃないの」
「・・・」
「・・・」
「ぺとルとガーが一緒だね!」
ぜんぶ一緒じゃなくてよかったね。
/今日のダンナ
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「俺今日アスペルガーを見たかも」
「へえ」
「ちらっと見ただけだけど俺にそっくりだった。俺死んじゃうのかな」
「ドッペルゲンガーじゃないの」
「・・・」
「・・・」
「ぺとルとガーが一緒だね!」
ぜんぶ一緒じゃなくてよかったね。
昨日から耳が痛い妻。
「耳鼻科行きなさい」
「行きたくない。病院嫌い」
「嫌いとかどうでもいい」
「どうでもよくないもん」
「す・き・と・か 嫌いと か」
ときめきを忘れない。
「わたしは わたしは わたしは真悟 グェエエエエ!」
台無しなキャンディ・キャンディ。
某女優のエッセイを読んでいる妻。
「ねえ、この人『こんな私ですが、いまだもって寄ってくる男達は星の数ほどいます』って」
「あんたの空は明るいっちゃねえ!都会育ちっちゃろ」
「アファメーションって知ってる?」
「何それ?」
「自分で自分に話しかけて、自己暗示をかけるの」
「あ、もちお知ってる。鏡に向かって『おまえは誰だ』って言い続けるやつでしょ」
「違う。もっと肯定的なことを言うの」
「『おーれーは無敵の勇者! おーれーは無敵の勇者!』っていう歌を親父がよく聴いてたけど、あれか」
うん、まあそうね。
「ドブネーズミ 汚ねぇ 病ー原ー菌 媒ー体」
この調子で「リンダ・リンダー」まで歌ってほしかった。
深夜に風呂上りの濡れた髪でぐずぐずする妻の話を聞く。
「ドライヤーで髪を乾かさなきゃいけないのに出来ない」
「そう。おまえは髪を乾かせない。このままずっと髪を乾かせない」
「でも乾かせないと困る」
「そうとも、乾かせないと困る。でも乾かせない。困ったな」
「乾かさないで寝たら寝癖がすごくなるから外にいけないよ」
「そうとも、髪がぐわああ!っと伸びて『このガキ!殺してやる!』って言って俺を締め上げたりする。
でも俺はそんなはてこさんを助けてやるためにあらかじめ手を打っておく。
そこではてこさんは俺に惚れ直して『ほんとにすてきな人・・・』ってなるから俺はあらかじめ用意しておかなきゃならない」
髪を乾かさずに寝ると山岸由花子さんになる説。
妻の愚痴に意見する。
「うん、俺思うんだけどさ、お義父さんとお義母さんははてこさんにアレでコレだから・・・」
「そういうことじゃないの!」
「そっか、じゃもちおわかんない!フニーンチ!」
『オーガニックパパ』という店の有機野菜を買ってみた。
「有機親父か。無機親父はメカゴリラみたいなやつだな」
「いつもはてこの話をなんでも聞いてくれてありがとう」
「よろしくね、お坊さん。ヒヒン!」
聞いてない宣言。
「ねえねえ、もちお!気がついたことがあるの。聞いてくれる?」
「うん?」
「あれがこれで・・・これがそれで・・・」
「ふんふん」
「だからあれはあれになるんじゃないかって!」
「なるほどねえ」
「それでね、まだあるの。それがこれだと・・・」
「ふんふん」
「っていうわけ!ねえねえ、聞いてる?どう思う?」
「俺は馬で キミは念仏~ ちゃちゃちゃん!」
思いを歌に託す。
今月28日だと思っていた資格試験の日が、実は18日だったと今日になって気づいた。
「生きることに、前向きになれないの」
「横向いてんの?」
「いや、後ろ」
「こう・・・か!」
「それ上向きだよね」
「後ろ・・・向いてる・・・!」
「腰に悪いから止めなよ」
あくまで身体は前向きのままブリッジで後ろを見ようとしていた。
「森光子、亡くなったんだってね」
「そうなんだ。不健康そうな体型してたもんね」
それは森公子。
鍵を収納するタイプの革のキーホルダーをプレゼントした。
「そのキーホルダー、役に立ってる?」
「・・・うーん」
「え、使い辛いの?!」
「いや、役に立ってるよ。ひとまとめになるし」
「取り出しづらいの?」
「いや・・・大丈夫」
「取り出しづらいんでしょ?」
「大丈夫だって!もう少し工夫すれば使いやすくなると思ってるところ!」
「じゃあいまは使い辛いんだ」
「違うって!」
わたしも使い辛いからあげたんです。
リンパの流れをよくすると免疫力が上がるとどこかで読んできて、しきりに妻をさする。
「ここに第二の心臓があるんだって」
「へえー。」
「ここを刺激すると全身のリンパの流れがよくなるんだって」
「ふーん」
「・・・」
「リンパリンパー」
「リンパリンパリンパー アー」
「リンパリンパー リンパリンパリンパー アー アー」(合唱)
美しくなりーたいー。
新たな資格取得に向けて過去問など解いている。
「これ、ほんとに落ちる人いるの?っていう内容だよ」
「はてこが受けたらたぶん落ちる」
「・・・」
「・・・」
「いや俺もいますぐ受ければ落ちるけどさ、ちょっと勉強すれば」
「いまなんで黙ったの?」
「・・・」
・・・。
[今日の夢]
「はてこさんと旅行に行ってバスに乗ってるんだよ。宿は海沿いにあってバス停で降りるんだけど、『たぶんこっちだよ』って言ったら『バス停から降りてどっちかくらいあらかじめ調べとけ』って言われてさ、なんだよ、俺だってがんばってんだよって内心思いながら『ごめん、ごめん』って言いながら歩いてて、ふと気づいたらはてこさんが人んちの庭を突っ切ってるの。まずいなー、困ったなーと思いながら俺は庭先に踏み込まないように遠巻きに歩きながら宿まで行ったんだよ。そしたらその宿は部屋が自由に選べるみたいでね、それぞれがすごくすてきなんだよ。アンテ…[全文を見る]
妻の身を案じている。
「今日は、無理しないようにね」
「うん?」
「肩の力を抜いて、リラックス」
ふー。
「リズムを刻んで」
「蝶のように舞い」
「蜂のように刺し」
え?