個人の収入を決算している妻。
「思ったより稼いでた」
「ほう!すごいね」
「『はてこはそんなに自由に使えるお金もっててずるい』ってもちおが思うんじゃないかってちょっと心配になったの」
「へえ」
「でも、もちおはきっと『はてこに好きなものを買ってやる機会が減って残念だな』って思うだろうと思ったの」
「そこまでじゃないな」
「あ、そうですか」
「うん。残念じゃないよ。俺ははてこさんが好きだからほしいものを買ってやりたいんだよ。はてこさんが貧しいからじゃないんだよ」
もちおは愛妻家じゃなかったらジゴロの才能あったと思う。
「ねえ、LED電気って眩しいのに明るくないよね」
「ギンギラギンに薄暗くー」
わたしたち、昭和夫婦。
わたしが4時間格闘してどうにもならなかったipodで動画をアップする問題を、酔っ払って帰ってきてちょちょいと解決させた。
「しょうがないよ、きみは素人だからね」
腑に落ちない!!!!
「id:hitode99 さんがブクマくれた」
「ウェーイ系だから。ウェーイ系は人脈だいじにするから」
「その人ね、合コンで場を持たせるのが得意なんだって。その気になれば合コン無双もできるって」
「・・・合コン・・・フフフ」
「なに」
「合コンいったらモテるぞ・・・フフ・・・合コンいったらモテモテだ・・・フフ・・・でも行かない!」
「なんなの。いきたいの?」
「合コン夢想!」
もちおには縁がないなと思った。
「ねえ、美味しい洋菓子が食べたいな」
「ダルシムのことだな」
「え」
「美味しい、ヨガ師が食べたい!」
もうオヤジ化以前には戻れないんだなと思った。
「もうすぐはてこの誕生日です」
「いつだっけ。11月3日?4日?」
「どっちですか」
「4日?」
「そう」
「当たった!もちお、えらい!」
出会って15回目でこれ。
「この先、踏み切りです。ご注意ください」
「よし」
「こら!こんなところで遮断してるんじゃない!!」
ナビを誤解する。
「この先、右折専用レーンがあります。ご注意ください」
「嫌だ!」
ナビに逆らう。
「車を停めてお客さんに会っていたら駐車場が翌朝まで開かなくなってしまった。迎えに来て」
「もードジなんだから」
「女児?」
誰が女児だ。
上階の釣り人からあらたな鯵が届き、もちおが玄関に出た。
「『誰がさばくの?』って聞かれたから、僕が本を見てさばきます!って言ったら、『さばいてきてやるよ』って」
「いつもわたしがさばいてるでしょ!」
釣り人は三枚におろした鯵を「おかあさんはの分」と二つのブロックにラップでまとめて届けてくれた。
出来ないことにしておいた方がいいのか。
車で仕事に向かった妻に
「青空もちお号で迎えにいきます」
とLINE。
自転車で迎えに来てくれて、帰りは自転車ばらして運転してくれた。
「トレーニングしてきたから大丈夫!」
と言いながら生ビールと焼き鳥をたらふく食べてきた。かつてのもちおを取り戻すまでに時間がかかると思う。
「鮫に見える」って。
海辺で一人潜って遊んでいたのに、ジョーズを見てから海に入れなくなったそうです。

「混合削り節出汁パック買ったつもりだったのに、顆粒だしの素だったよ!」
「そうか、そうか。風呂にでも入れて入ろう」
間髪いれずにこういうことをいう。
「俺もこんな気持ちだった」
バックトゥーザフューチャー3でドクがクララに会った場面で。
「『気合いの入った服を着た女を連れて歩くと得意な気分だけど、今日化粧ちょっと薄いな、と思ったりするとがっかりだわ。飲みに誘った女がすげー気ぬいた格好してきたことがあったけど、なめられてる気がした』ってA が言うんだけど、もちおもはてこがきれいにしてたら歩いててうれしい?」
「はてこさんがきれいだとうれしいね」
「でももちおは化粧しない方がすきでしょ?T シャツのはてこは?」
「Tシャツのはてこさんはきれいだからうれしいね」
出会いがないと言い続けるA と妻転がし検定1級資格者は言うことが違うと思った。