『オペラ入門』堀内修
クラフト・エヴィング商會のような含羞ある韜晦が見え隠れする文体が堅苦しくなく読みやすい。のっけから「読むなよ、読むなよ、絶対に読むなよ!」とダチョウ倶楽部的(ここの紹介だけで読みたい人が出た面白さ)で、最後の章はこんなふう。「ただの一度も『一人でも多くの人に(注:オペラを楽しんでもらいたい)』と願わなかったことを、謝罪させていただきます」「これからオペラを楽しむ人のために、役立つ情報というのも、『本当にあるのか?』と言われると、つい口ごもらざるを得ない」。でもわたしには佐藤優氏の本同様「役に立つ」本です。
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最近読んだ本のことを語る
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『喰らう読書術』荒俣宏
ある程度活字中毒じゃないとこの本に興味は持たないと思うのですが、そしてそういう人は本書で荒俣さんの推奨する読書法は取り入れるまでもなくその沼にハマってしまっていると思うのですが、ともあれ本書は荒俣さんの生態を知ることのできる面白本です。そして荒俣さん所有、また荒俣さんご存知ながら未所有の稀覯本や珍本を読みたくてたまらなくなる本。二箇所ほど誤植を見つけてしまったのは残念です。
p66・5行目:奇妙は化学者➡︎奇妙な科学者
p256・4行目:問題なそれだけでは➡︎問題はそれだけでは
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黒岩重吾の『中大兄皇子伝』上下巻
この作品での中大兄の性格はよくわかるのだが、彼が恋々とする鎌足のそれは、中大兄が言を尽くすほどにわからなくなってくる。中大兄は鎌足について何度も「油断がならない」「用意周到だ」と言い、様々な政変の裏で鎌足が暗躍しているのではと疑う。鎌足の人となりの「わからなさ」は、実は中大兄も最期まで操られていたのでは、と思えてくるつかみどころのなさなのである。特に下巻の最終章、倒してきた政敵たち、最愛の妻も迎えに来る中大兄の死出の旅路に、鎌足が現れてこないことで、わたしの疑いは最高潮に達した。鎌足…、おそろしい子…!
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わたしが年末に『セデック・バレ』を見たことを覚えていた同僚が、同作の監督が読んでこの映画を作る契機となった原作マンガを貸してくれた! なんとありがたいことでしょう。
一読したところ、映画はセデックの宗教と文化の紹介が充実している感じ。マンガでは映画で名前の呼ばれなかった人々の名を知ることができるのだけれど、カタカナのそれはなんとなくアイヌ語っぽい印象を受ける。
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