『葉蘭を窓辺に飾れ』ジョージ・オーウェル
1930年代不況のまっただなか、学がある故に金を軽蔑し、結果、誰よりも金にとらわれ金を憎み、金にとりつかれる主人公(『金持ち父さん貧乏父さん』の貧乏父さん典型の家庭で育っている)。
途中で典型的アルコール中毒者的発想が出てくるのだけれども、そこで気づいた。金に中毒する、ということもあるのだなあと。彼の金に対するものいいは中毒患者のそれだと思う。
正直に言う。主人公の二度目の下宿住まいのような、自分のようなものに見合うそれになるようにと一切を切り捨て、諦念すらも浮かばないあの生活を、うらやましい、ああいう生活をしたいと感じている自分がいる。
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NHKでヤノマミの生活や習俗を扱った番組を見て興味を持ち借りたのだけど。あれって搾取され続け命を脅かされ続けている社会的弱者である面にはまったくと言っていいほど触れてなかったんだなあ……。今頃やっと気づいて情けない。
『キリンヤガ』、これと続くと、暗澹となる。
外部から観察する人にはノスタルジックなユートピアでも、その社会で生きてる人にとってはあくまで必死で成り立たせてる現実の生活。忘れないこと>自分
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『
』 マイク・レズニック
キクユ族のムンドゥムグ(祈祷師)を主人公にした、ユートピアSF。
時々、まるで図ったかのようにベスト・タイミングで読むことになる本があるのだけど、この本もそうかもしれない。
何についてベスト・タイミングだったかはまあおくとして、他にも、
万人にとってのユートピアは成立しうるのか、とか、
「自由意志による外社会への脱出」を個人の権利として、同時に社会からの脅迫手段としても利用しうるシステムが前提となる社会は、誰にとってのユートピアか、なんてことも考えたり。
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『P・G・ウッドハウスの笑うゴルファー』P・G・ウッドハウス
『人間の測りまちがい 差別の科学史』S・J・グールド
『FANTASTIC MR. FOX』 ROALD DAHL
『ナチズムと強制売春 強制収容所特別棟の女性たち』 クリスタ・パウル
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某さんが日記で書いてた感想を読んで興味がわいたのでまとめ借り・まとめ読み。わたしも整理整頓お片づけ一般ができないので。
前者2冊は両方とも前半の前半あたり、著者のネガティブ・スパイラル的な精神状態が見えるので、鬱気分の時はちょっとそのあたり読むのつらいかも。
『貯める技術』は、単身者で低収入とはいえ収入がないわけじゃないのにいつもいつのまにか金がなくなってるって人にはすごく参考になるかも。この家計簿は使えると思うし、この管理法もシンプルでわかりやすいしアレンジもしやすい。
読んでて一番おもしろかったのは三冊目。わたしもこういうレベルでできないしわからないので参考になった。なんつうか、やる気出た。珍しく。
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『
520』
あまりの比喩の的確さに時々音読してしまったくらいの爆笑。あとがきに書いてあったが、今回の主役といってもい『ギャリーおじさんの回想録』は実際偽書が出版されてるそうで、ぜひ名高き「エビの話」を読みたい。ギャリー大好きだ。
あと、ウッドハウス家当主第四代キンバリー伯爵が実際に回想録を出版されてるそうで、そのタイトルWhim of the Wheelsは、訳者曰く
「ルーレットの目の出たとこ勝負人生、とでも訳せばよろしいか」
とのこと。……ウッドハウス家にはどうやらどうでしょうの血が流れているらしい……ある意味納得した(^^;)
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タイトルがずっと気になってたんだけど、やっと今頃手に取った。で「今の」自分の興味のあること(言語とか差別とか宗教とか認識とか美醜とか)が全部詰まってたので、ああこれは時機待ちだったのかもなあと思ってしまった。
スタイルとアイデアが一致しててこの形態以外で語ること不能な感じの短編ばかり。『ゼロで割る』あたりでそれに気づいてぞくぞくした。
今頃、って感じだけど、これは読んでよかった。近いうちに買う。
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好奇心と探求心の赴くままに、さまざまな領域・学問に足を踏み入れ首を突っ込みながら、語られたり論じられることの少ない「汚い」という感覚について、何をもって汚いとするのか、汚いとはどういうことなのか、を考えてみたもの。
「五感のヒエラルキー」、「明示知と暗黙知」(とネイティブ・非ネイティブの違い)、日本語教師の立場から見た日本の外人差別について、ネアンデルタールとホモ・サピエンスとアナログとデジタル、などなど、読んでてとても楽しかった。
「汚い」という言葉を中心にしたマインドマップを文章で読むような感覚。
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どういう流れ・土台の元に「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」というジャンルが生まれたのか、またこれからどのように展開する可能性があるのか、を、『JUNE』という雑誌を中心にすえ、まとめたもの。「70年代サブカルチャーの総花としての「耽美」」「戦後日本における〈教養〉の申し子」ってのはなかなかおもしろいところ。
最後に故・石原郁子の映画評論家としての仕事に対して「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」が与えたものを検討し、「展開の可能性」について呈示している。
巻末にけっこうな分量で、竹宮惠子、増山法恵、佐川俊彦それぞれへのインタビューあり(本文で引用元として扱われている)。この面子であれば当然中島梓へのインタビューもほしかったが、時期的に難しかったのかもなあ。
読みやすいので、入門者参考資料的におすすめ。
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2001年に、それこそ30年ぶりに改訂版で出版されたようです。数ページですが、改訂版用の訳者あとがきがついてました。
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読んだきっかけは
の後半でこの本から引用されてる部分に惹かれたためです。自分が日常見聞きしてるものから見るとまだまだ通じる部分があるなあとにやっとさせられたりもしました。
図書館で借りた本だったのですが、ちょうどギフト券もあったので結局さきほどポチりました(笑)
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『
』
ある個人に対して、その外見・振る舞いなどから、他者がステロタイプ・偏見等の社会の価値体系を土台にして予期・期待・要求した属性と、実際にその個人が持っている属性の間に大きな乖離があり、その実際の属性が集団・社会の価値体系の中で「異常」とされその個人を卑小な存在として貶めるようなものであった場合、またその属性がその人の信頼/面目を失わせる働きが非常に後半にわたる場合
その個人は「スティグマを持つ」という。
スティグマのある者は、大きく二種に分かれる。第一に「すでに信頼/面目を失っている者(肉体的…[全文を見る]
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次の世代に望みをつなぎ彼らの不安を軽減するために、ポワロとミセス・オリバーが過去へと旅をする話。年をとるってこういうことかも。
ことにミセス・オリバーが彼女が昔めんどうを見てもらった、今は一人暮らしをしているばあやを訪れる章が、なんというか、胸に沁みた。わたしにとってのああいう存在にあたる人たちは、もう亡くなってしまってて、こういう時間をわたしはもう持てないんだなって気がついてしまった。
推理部分はすぐ分かってしまう話。でもあそこで感じた胸詰まる感じは忘れられないかも。
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366
うぬう、もったいない、よくばっていろいろつめこみすぎたよ、西澤さん!おかげでなんか薄味になっちゃった。
短編でも長編でもいいから、この設定で連作もので読みたかった……。まあこれ以上シリーズもの増やしても、とも思うけれども、でもこの設定はいろいろやれそうでおもしろすぎるので、シリーズにして、これが森奈津子シリーズの1冊目みたいな扱いに後々なることを希望しますです。
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『
』
……一番まずい読者の一人としての自分を自覚させられるーっと。
笙野頼子の小説につきあうのめんどいけどどういう考え方でもの書いてる人か知りたいって人は、この本の最後に入ってる『八百木千本様へ笙野頼子より』の一読をおススメ。
この本とこれの前作というべき『説教師カニバットと百人の危ない美女』読んでいまさら気づいたのだけど、アンチ・エイジングって美人でいる方法としてのそれしかないのねえ。
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810
生まれて初めて切実にブリッジのルールを知りたいと思わされた一冊。といってまだ調べてないけど。
ある人の死に様に、クリスティの残酷さとミソジニー的ななにかをまざまざと感じる。少女小説の延長的な部分があるのよねーというか。
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400
読み始めてごく最初の何作かで、征悟郎の『いちばん上のお兄さん』とか笙野頼子の『母の発達』とか読んだときの感覚を思い出してしまった。
「物語」にとどまらない、「日常を異化する」SF短編小説を書くことを目標に掲げた著者の短編集。わたしにとっては大当たり。他のも読みたい。
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白井恵理子の四コマ三国志好きな人は必読。基本テイストはあれと同じ。著者による地の文でのツッコミっぷりがはんぱではない。
一方で、途中から永井豪がこれを原作にしてマンガ化したらという妄想がわき出て困った。特に劉備一家と徐庶の母ちゃん。あばしり一家のノリで。
あと英訳版三国志Romance of three kingdomsのくだりがあまりにもおかしいんで思わず読みたくなった。
文化の違いで違う世界が表れるってほんとおもしろいことだわー。
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132
示唆に富む内容だった。特に第三章。
・表現にはどれだけ配慮を行おうと必ず誤読がつきまとうこと
・誤読が生まれそれによって傷つく人が生じたときの調整の可能性
・いわゆる「言葉狩り」を行うのは抗議に対して目先の言い換えで安直に言葉を収めようとするメディア企業であることが往々にして忘れ去られ抗議者に対する反感とシンボライズされた「言葉」のみが残ってしまう不毛さ、それを回避するには
・作者の意図を離れて差別表現が再生産されるメカニズムの一例としての「おとこ道」や筒井康隆の断筆宣言
・被差別者のみが当事者か、その痛みを分有することはできないか、そのために「差別の現状を表現すること」はどうあるべきか
など。
オススメ。
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ミス・レモンの姉が住み込みで管理人として働いている下宿屋で続くささいな盗みやいたずら。度重なり、ミス・レモンの仕事にまで影響を及ぼし始めたので、ポワロは相談に乗ることにしたのだが……
留学生が多い学生中心の下宿屋が舞台で、登場人物多いのにそれぞれキャラが立ってて読みやすかったしおもしろかった。会話も楽しい。
でもやっぱ最後には家族の問題が出てくるのがクリスティかも。
/本